スペインの田舎で作られたという通称ゴッホの椅子、昭和47年発行の「世界の民藝」とい本に陶芸家・浜田庄司さんの解説と共に紹介されています。
ここではそれに基づいて、ゴッホの椅子について考えたいと思います。
浜田さんよると、粗末な工房で3~4人で作られていたようです。ということは、分業していたのではないかと思われます。
この椅子についての一つの疑問は、生木の状態で組み上げていたのか?という点です。
生木の状態で組むと、乾燥によって緩みが出る可能性があります。私が教わった生木の木工家は、少なくとも貫は乾燥させてから組み上げていました。
仮に分業だったとして、部材を作る人、組み上げる人とに分かれており、各工程の間に乾燥させる期間があったのではないかと推察します。
次に、「両手に柄を握ったカンナで皮をはぐ」とあります。これは、南京鉋(スポークシェイブ)か銑(ドローナイフ)と思われますが、皮を剥ぐという荒っぽい作業を考えると、銑ではなかろうかと思います。
そしてこの文章最大の疑問です。
「ナマ木なので丸い孔へ角立って削られたままの横桟が水をふいて叩き込まれる。」
丸い穴に、四角いホゾを入れるのは理解できます。しかし、そのホゾを水で濡らすというのがわかりません。滑りを良くするため?
この点については、個人的には水で溶いた膠かなにかの接着剤を塗っていたのではないかと考えます。先日調査した椅子にも何か固まるものを塗ったような跡がありましたので、、この点については要検討です。
※2/14追記 「水をふいて」は「拭いて」ではなく「噴いて」ではないかとのご指摘を頂きました。それなら意味が分かります。叩き込んだホゾで潰れた木の組織から生木の水分がにじみ出し「水が噴く」。だとすると、使う木は相当のナマだということですね。
最後に、「一脚の骨組みの仕上がりにちょうど十五分。八脚ぐらいできると子どもはロバの背につけて、草で座を編む。」
文末が主語を省略していますが、子供が2時間おきぐらいに出来上がった椅子のフレームを座編み職人の元に運んでいたのでしょうか、完全な分業ですね。昭和40年(1965年)当時のお金で1脚270円とあります。今の価値に直すと卸値で1000円強でしょうか。やはり、相当な速さで生産されていたと思われます。
イロイロな疑問もありますが、来週に試作を行います。さて何脚出来るでしょうか、、、
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