2013年8月30日金曜日

「子ども椅子」づくりのお知らせ

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文字クリック→お知らせPDF開きます

家具店でグリーンウッドワークの制作体験講座をすることになりました。
10/12(土)20(日)の二日間かけて一脚、生木の丸太を割った状態から作ります。
8月に札幌芸術の森で行った「生木でつくるゴッホの椅子」の、子ども椅子バージョンです。今回使う木は、ヒノキの予定。

初めての人でも本格的な木工体験できます。高さ40cm程度の子ども椅子、下の写真は、先日試作した様子とその時に作った椅子です。
 
お子さん・お孫さんの最初の椅子として、また大人が座っても大丈夫ですから、玄関先や庭仕事の時に使う腰掛などにいかがでしょうか? ご応募お待ちしています。
 
問合せ、申込みはcanna家具店まで
名古屋市東区相生町14-1
tel/fax 052-933-6268
http://blogs.dion.ne.jp/canna/
 
  
 
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この椅子づくりは、「子ども展」のイベントの一つです。
他にもいろんな企画をやっています。
そして、いくいくみしる参加企画でもあります。

2013年8月27日火曜日

ゴッホの椅子 札幌芸術の森ワークショップレポート

北海道から帰ってきて2週間、仕事が始まって1週間、やっと落ち着きを取り戻しつつあります。

札幌芸術の森での、「生木でつくるゴッホの椅子」のご報告をしたいと思います。
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��今回のブログの写真は札幌のプロカメラマン・並木博夫さんに撮影していただいた写真を使用しました。

いろいろなご縁で、ゴッホの椅子と呼ばれるスペインの民藝椅子を作ることになった経緯、また調査していく段階で見つかった数々の発見、それはとてもスリリングなものでした。
その模様は森林文化アカデミーブログ、「ゴッホの椅子を追いかけて」、「ゴッホの椅子を追いかけて〜京都・美山へ」に詳しく書かれています。参照ください。

では、ワークショップのご報告です。
��長文です。一部熱く技術解説していますが、サラッとお読みください。)

冒頭、2時間ほどかけて岐阜県立森林文化アカデミー准教授 久津輪 雅 氏によるレクチャーが行われました。
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話の主な内容は、日本の民藝運動の中でスペインの椅子が見いだされ、その製作現場を日本で初の木工芸分野の人間国宝 黒田辰秋氏が見に行った理由とは、です。

個人的な思いとしては、一脚の素朴なスペインの椅子を、一人のオランダ人画家が描き、時を経てそれを見つけた日本人が椅子を輸入し、後日また違う人が世界の裏側まで見に行く。一つのモノに宿った人を動かす力!そこに不思議と感動を覚えます。

そういったお話の後、いよいよ参加者10名による椅子づくりが始まりました。
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こんかいの材料となる白樺、数週間前に準備していただいた生木です。岐阜・愛知の私達には馴染みの薄い木でしたが、北海道では至る所に生えています。話を聞くと、ほおっておいても自然に生えてくるとのこと。本物のゴッホの椅子は、ポプラから作られその材の白さから「白椅子」とも呼ばれていました。シラカバの材色も白く適度な柔らかさ、うってつけの材料でした。
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この生木の丸太を割るところから制作スタートです。割った木材を、椅子の脚や背板、貫に削っていきます。
ほぼこの刃物、「銑」だけで仕上がりまで削り上げます。使う道具もシンプルです。
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大まかに削った後、半年間に及ぶ試行錯誤の末に開発した計測治具 通称「緑の太貫(タヌキ)」を使用して、この椅子の特徴、丸穴に叩き込む角ホゾを成形します。この大きさが小さいと緩くなり、大きすぎると脚を割ってしまいます。このあたりの加減を見つけるのが大変でした。
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ここまでで二日間、全体の部材を削りだして前半終了です。なかなかハードは二日間でした、、この後3日間のインターバルを置いて後半に続きました。

後半二日間は、比較的ゆったりとしたペースになり、穴あけ、組み立て、座編みと進みました。
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この丸穴に角ばったホゾを入れる方法、これがかなりの温故知新なんです。

通常、現在の椅子づくりで丸穴にホゾを入れる場合は、ちょっときつめに作ります。木の硬さにより0.1mm刻みで太さを調整し穴よりも少しホゾを太く作ります、それを木殺し(金づちなどで叩いて木の繊維をつぶす)してから、接着剤を使用して組み立てます。接着剤の水分を吸って、木の繊維が膨らみより強い接合となる。スタンダードな木工の技法です。これも理にかなった方法です。

しかしこのゴッホの椅子は、丸に四角を叩き込む!一見乱暴な方法ですが、実はとても合理的。
程よい太さに削った四角いホゾは、木を割ることなく適度に潰れながら入っていきます。+1mmぐらいの誤差なら大丈夫。1ミリというと少なく感じるかもしれませんが、0.1ミリ単位で調整することを思えばかなりの許容範囲です。
適度に潰れているので、膨らもうとする木同士がしっかり密着し摩擦の力でしっかりします。接着剤が無くても大丈夫!素晴らしい人類の英知です。

他にも、四角いメリットはまだまだありますが、語りだすときりがないのでこの辺で(笑)

そのように組み立てた後、飾りで脚の天辺に面取りを施します。シンプルな面取りですが、これでぐっと雰囲気が出ます。

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翌日、座編み。
本物は、ガマの葉をよりながら編んでいくのですが、それはさすがに難しいので、イグサを予め縄に編んだもの使用しました。これでしたら、初めての方でも2~3時間で編み終えることが出来ました。
根気のいる仕事ですが、徐々に椅子の形が見えてくるので作業もはかどります。

そして、、、無事全員完成することが出来ました!
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参加者、スタッフ全員の表情が、その成果を物語っていると思います。とても充実した気持ちになれた瞬間でした、皆様お疲れ様でした。
このあと、この椅子たちが使われて40年後、中央に置かれたスペインの椅子のように味わい深いものになっていると嬉しいですね。

このゴッホの椅子づくり、これをスタートにいろんな所で広げていきたいと思っています。
もしかしたら、皆さんの近くで開催するかもしれません、その時はぜひご参加ください。

2013年8月20日火曜日

削り犬 改良

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先日の削り犬、関係各所からアドバイスをもらい、さらにさっそく使ってみるとイロイロと改良点が見つかりました。さっそく改良。

まず、「犬に見えない」。これは非常にマズイ、この道具の呼び名が変わってしまうこの問題を、上部に切り込みをいれ銑スタンドとすることで解決!個人的にはダックスフント風になったのではないかと自負しています。

また、口の取り付けを斜めにしたことで、ハサミ口の幅寸法をそんなに変えることなく踏み位置を前方にずらしながら、より犬らしい風貌にすることに成功(^^)v

ペダルも折りたたみ式にして高さ調節可能に、これで子どもから大人までふれあえるフレンドリーな削り犬に!

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しかし、、収納が難しくなってしまいました(^^;
これが解決すれば、製品化でしょうか。。。

2013年8月17日土曜日

削り犬 試作

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作るよう頼まれていた、削り馬(Shaving Horse)の小さいバージョン、ひと呼んで「削り犬」、試作品を作ってみました。

試しに子ども椅子のいちばん固定しづらい部材を作ってみると、、

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上手いこと削れます!テコの原理で、支点と力点が削り馬より離れているので軽く踏んだだけで、しっかり固定できる。
押さえる頭の形状も小物向きかもしれません。

大好きな折りたたみ機構も搭載したので、コンパクトに収納できます(笑)
削り馬と比べても、1/3ぐらいの大きさでしょうか?もちろん、作りやすさも。

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シッカリした作業台があれば、同時に4~6人作業できそうです。
硬い木を、ガツガツ削るのにはちょっと心もとないですが、今回使ったヒノキの生木なら余裕でした。
グリーンウッドワークの入門道具としての要望にもお応えできるかもしれません。

使い勝手を検証して、近々製品化したいと思います。


2013年8月15日木曜日

第1回ゴッホの椅子づくり講座、無事に終わりました。

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昨年の11月に、「ゴッホの椅子って講座にしたら何日ぐらいでできるかな?」というメールで始まったゴッホの椅子づくりプロジェクト、その時に想像した以上に色んな意味で膨らみ、多くの方の協力で充実し実現しました。

ちょうど1週間前の今日、札幌芸術の森の体験講座で生木の白樺から4日間かけて10人10脚の椅子が形になりました。
僕は制作指導担当でしたので、タイトなスケジュールの中で全員が完成することができて、とてもホッとしました、みなさんに感謝です。

今回の北海道遠征、書きたいことたくさんありすぎて、ホントにどれを書いていいのかわかりません!
順番に並べると、100脚展、ゴッホの椅子づくり講座、木育、グリーンウッドワーク三昧、アイヌ文化、ハイレベルな工芸高校、なくなる大学とできるかもしれない大学、飲みながらの濃い木工の話、君の椅子、旭川と東川の木工見学、アルテピアッツァ美唄にモエレ沼、、などなど。
一度に吸収するにはあまりにたくさん過ぎて、言葉にするにはもう少し時間がかかりそうです(^^;
また追い追い書いていきたいと思います。


今週の始めに、暑~い名古屋に帰ってきてお土産配りとお盆の挨拶も一段落、次の準備にポツポツ取りかかります。